モンテッソーリ小学部での幾何学と感覚の体験
マリア・モンテッソーリは幾何学を実生活に根付いたものだと見ていました。
英語での幾何学はGeometryといいます。Geoとは地球という意味をもちます。また、Metria とは、測るという意味をもちます。つまり、Geometryとは、“地球を測る”という意味も持ち合わせているのです。
マリア・モンテッソーリは、私たちの生活、地球そして宇宙にあるすべてもののが、関係しあっていることを子ども達に様々な形で表現してきました。それが、宇宙教育です。幾何学の世界も、形を理解するだけではありません。子ども達が日々見て、感じて、体験する経験の中から、幾何学と共通するものを子ども達自身が見つけ出します。それを可能にする環境が、モンテッソーリ小学部のクラスにはあります。そして、その体験から、まだ見たこともない世界を子ども達は想像していくのです。
モンテッソーリ小学部での幾何学のレッスンは、具体的で感覚を使った体験が豊富です。様々な具体的な体験や実験を通して、抽象的な概念を理解していきます。これらの活動は、答えにや結果を求めることではなく、創造性を重視したもとなっています。 “具体的なもの、体験から、抽象的な考えにたどり着く”この体験をすることで、幼稚部で経験し吸収した事を意識的に考え始めるのです。
幾何学のレッスンは、線や角度、形の特徴(三角形、多角形、四角形、円など)、形の共通点や同じ形について学んでいきます。
幾何学のレッスンの一つをご紹介します。
レッスン:水平、垂直、斜線
これは、モンテッソーリ小学部の最初の幾何学のレッスンです。このレッスンの目的は、様々な平面の線に気づくことです。
提示:
- ガラスのボウルに、青色に染まった水を注ぎます。注いだ後に、ボウルを少し揺らし、水を波立たせます。
- モンテッソーリの幾何学の教具“棒の箱”から、棒を一本取り出します。先生は次のように子どもたちに説明していきます。 「この棒は、線分をあわらしています。今は、このボウルに入ってる水は動いていますね。この水が、完全に止まるまで待ちましょう。」 *線分:二つの点に挟まれた直線の部分
- 水が完全に止まったら、棒を水面に浮かべます。目を水面と同じ位置にし、観察します。
- 先生「このボウルに入ってる水は、まるで海の水のようですね。海水を見た時、空と海水が出会うとことを、水平と呼びます。英語ではHorizonす。この言葉はラテン語からきています。ラテン語では、果てや境界という意味です。」
- 先生 「この水に浮かんでいる線分のことを、水平線と呼びます。」
- 鉛直を出して子ども達に見せます。
- 先生 「大工さんが、釘などを木にまっすぐに打つ時に、これを使いま す。これは、鉛直といいます。下についている重りが、紐を真っ直ぐにし引っ張ります。」
- もう一本の棒を箱から出します。そして、鉛直の紐の隣に置きます。
- 先生「鉛直の紐に合わせたこの線分を、垂直といいます。英語ではVertical でラテン語のVertexからきています。最高点という意味です。」
- 棒を斜めに持ちます。先生 「この線分は、鉛直の紐に沿って垂直になっていますか。この線分は水面に浮かぶように、水平になっていますか。この線分は、水平でも垂直でもありませんね。このような線分を斜線と呼びます。英語では、Obliqueです。この言葉もラテン語Obliquusからきています。曲がるという意味です。」
- 全ての棒をマットの上に置きます。