花の生ける
モンテッソーリ教育では、日常生活の練習を「運動の教育」と位置付けています。子どもは動くことによって環境と関わり、精神的発達が促されていくのです。
動くことに特に興味をもつこの時期をモンテッソーリ教育では「運動の敏感期」と呼んでいます。子どもは「どうやって動けば良いか」といつも興味深く周りを観察し、大人のやることを模倣しながら練習して色々な動きを獲得しているのです。
ですからこの時期に無駄のない、秩序だった動き方、身のこなし方を見せると、その魅力的な動きに興味をもった子どもは夢中で吸収しようとします。そして「こうしたい!」と思ったことを思い通りにできるようになっていく子どもは、自分の行動においての主人公になることができます。さらに、自分の意志通りに自由に行動できるようになることは、人格の芽生えにつながっていき自立した存在へと歩み始めます。
このような教育観点から日常生活の練習が目指しているものは、肉体的な面から考えると運動の完成、つまり自分の意志通りに動く身体を作ることです。精神的な面から考えれば、「自立心」、「独立心」を育てることにあります。そして同時に人間形成に必要な「理解力」、「行動力」、「意志力」、「集中力」等を養成するとともに社会性を養うことといえます 次に、5つある日常生活の分野の一つである「環境への配慮」から「花を生ける」のお仕事を紹介したいと思います。
「花を生ける」を子どもに紹介をする前に、まず、以下のことが獲得されているかを確かめます。
- ハサミを使えること。
- ピッチャーやトレーを運べること。
- エプロンをつけます。ピッチャーを運び、そこにに水を注ぎます。水をこぼさない様に慎重に運びます。この時子どもは自分の動きをコントロールしながらピッチャーを運びます。
- 子どもが選んだ小さな花瓶に水を注ぎます。小鉢にも水を注ぎます。
- 花を一輪大きな花瓶から選び取り、子どもが選んだ小さな花瓶の横に持っていき、花の茎と花瓶の高さを計ります(茎のちょうど良い長さを視覚で覚える。)小鉢の中で茎を切ります。
- 花瓶の中に花を生けます。水スプレーを花に吹きかけます。
- ドイリー(小さな敷物)と花瓶をもち、お部屋の好きな場所に飾ります。
- これで「花を生ける」活動が終わり、道具を片付けます。
この仕事の目的は、まず花の生け方の基本を知り、手首の動きの調整、獲得、美的感覚、洞察力、集中力や秩序感、社会性を育て、語彙を豊かにします。この活動を通して子ども達は日常の活動に自信を持つことで、この次の活動にも良い影響をもたらします。
是非、お子様とご家庭でも試してみてください。
*日本語での「花を生ける仕事」の紹介は英語の直訳ではありませんのでご了承ください。